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Photo by Kondo Atsushi
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「中川家、陣内、コバが売れたら絶対やりたがらないことは何かを考えた」
たむらけんじ #3
今回のアチーバーは、人気お笑い芸人で、「炭火焼肉たむら」を運営する株式会社田村道場代表取締役でもある、たむらけんじさんです。50歳となる今年5月にすべてのレギュラー番組を卒業し、アメリカへ活動拠点を移すことを発表しているたむらさん。19歳でお笑いの世界に飛び込み30年。多くのレギュラーを抱える人気芸人でありながら、「副業」と語るビジネスでも成功を収めるなど、唯一無二の存在感を放ってきました。人生は一度。他者からの評価を気にせず、挑み続けるために必要な考え方、たむらけんじさんにとっての「お金」とは―。今回は全3回連載の1回目。歩みを止めない男が、飾り気のない「WORD」で自らの生き方を語ります。
Q:「獅子舞」「ふんどし」「サングラス」と独自の笑いで道を切り開いてきたわけですが、THE WORDWAYの読者の声を見ると「自分の強みが分からない」という人が少なくありません。たむらさんはどのようにスタイルをつくりあげていったのですか?
同期に中川家がいて、陣内(智則)がおって、コバ(ケンドーコバヤシ)がおって。この3人が、僕の中の目安なんですよ。中川家はもう完全に漫才師。だから、こことは戦えないじゃないですか、僕1人やし。陣、コバ、これはピンなんですよ。ピン3人。陣内、コバが先にバーンって売れて、陣内はネタやってた。コバもネタやってるけど、アイツはもうお笑い能力が高すぎるから、ここも太刀打ちできない。陣内がやってるネタって、MDが出てきた時で、めちゃくちゃ上手にやりよったんですよ。だから、僕もツッコミで、陣もツッコミなんで、ツッコミ芸人のピンがやるネタとしたら、アレが最高峰で勝てない。「じゃあ、どうすんねん」ってなったときに、「コイツらが売れた時に、まず何やらへんねん」ってことを考えたんですよ。Q:ライバルがいない場所を探したと?
そうです。コイツら売れたら「絶対ロケ行けへん」って言い出すやろなと思って。やっぱりスタジオの方がギャラもええし、時間も読める。もちろんそうなりますよね。その時に、俺はコイツらがこういってくれてるんやったら、俺はもう一生ロケするぞって決めたんです。ロケは若手仕事と言うか、拘束時間も長いし、ギャラもスタジオに比べたら安いんですよ。でも、僕は「あ、コレええ隙間見つけたな」と思ってましたね。Q:自分自身の状況と周囲の状況を客観視し、勝てる場所で戦うのはどのような世界にも通じる考え方だと思います。
僕ね、客観的に自分のことを見れるのは得意技やと思ってるんです。自分のお笑い能力もわかってるし、何が苦手、何が得意っていうのももちろんわかってる。一番力を発揮できるのもロケや、一般の人と絡めるとか、そんなんが一番良いって思ってて。なので、ピンになった時から、(視聴者が応募した悩みや疑問を一緒に解決する)探偵ナイトスクープはホンマに狙ってました。あそこに絶対行くって決めてたんです。だから、どの番組もレギュラーが決まったときって嬉しいんですけど、探偵ナイトスクープの探偵が決まったときは異次元でしたね、喜びが。えげつなかったです。Q:たむらさんの立てた作戦が、最高の結果を引き寄せたのですね。
だから、(アメリカ行きですべてのレギュラーを)辞めるって決めた時も、「探偵ナイトスクープの探偵やめなあかんねんな」は一番最後まで引っ掛かりました。「ここは、誰にも渡したくないな」っていうのはホンマに。だから、新探偵やなんやという時にはちょっとモヤモヤします。唯一、モヤモヤしてることちゃうかな。Q:いつくるか分からないチャンスに向けて日々努力を続ける人、たとえば悩んでいる後輩から相談を受けたら、たむらさんはご自身の経験からどんなアドバイスをされますか?
僕は、「売れるためにどうしたらいいんですか」って聞いてきた瞬間に、もう売れへんなと思います。もちろん聞きたいんですよ。聞きたいんですけど、けどそれをグッと食いしばって、それなら「たむらさん、飯連れてってください」とか、そっちの方がいいと思いますね。僕もそうやったんで。僕も先輩に、ああせいこうせい、売れるためにはこんなんせなあかんって言われたこと、1回もないんですよ。僕も聞いたことないし。けど、一緒に飲みに行って、ご飯食べに行って、そこで「あ、こういうことや、こういうタイミングで言ったらおもろいんや」とかを学べるんで。売れる方法ってないんですよ、これ。絶対ないです。ただ、やること。好きなことを怠けずにやる。好きでずっといるって事かなと思います。あとはもう運ですよね。この世界、おもろいやついっぱい辞めてますもん。売れる人は、皆さんやっぱり運を持ってますよね。Q:今後、たむらさんがアメリカで実現したいこと、50歳からの目標を教えてください。
こうやって「アメリカに行く」って言ったから、色々取材していただけるんですよ。これ、芸人の悪い所で、やっぱり(取材に)お土産持って行こうとするんですよね。だから、「モーテルやりたい」とか、いろいろ言ってたんですけど、ぶっちゃけると僕向こうで最初何もしないです。何もしなくて、もっともっとアメリカを知ろうと思ってます。その時に、もしかしたら好きなことが見つかってビジネスになるかもしれない。外国ってやっぱり感覚違うじゃないですか。だから、そこで僕に何か刺激が与えられて、新たなアイデアが出てくるかもしれへんし。なので、決めて行かんとこうと思ってるんですよ。これが一番の本音です。Q:今までの戦略を立てて、期限と目標を決めるスタイルとは真逆のやり方、生き方ですね。
そうですね。そうしたいなと思ってます。オリエンタルラジオのあっちゃんとか、キングコングの西野とか、アイツらボロ稼ぎしたわけじゃないですか。吉本も辞めてやってるじゃないですか。僕マジでそうじゃなくて、ホンマにアホやから、全部貯金が悪やと思って、全部投資したりとか、使ってるんですよ。改めてこうやって行くってなった時に、「ホンマ、俺全然持ってへんやん、大丈夫か」って思ってるんですけど、でもまぁ何とかなるかって。今はそんな感覚です。自分で決めれないスケジュールの中で生きてきた人間が、自分の好きなように時間を使える人生を今から楽しめるんやって思ってるんで、それを考えるとワクワクしてるし、ホンマにアホなんちゃうかなって言うぐらい1mmも不安ないんですよ。Q:10年後、20年後、30年後、漠然とでもこうなったらいいなみたいなのはあるんですか?
大金持ちです(笑)。Q:貴重なお話をありがとうございました。最後に、このTHE WORDWAYは「言葉」を大切にしているメディアです。たむらさんが支えにしてきた言葉、自分自身を作ったような言葉があれば教えてください。
いつも僕が思ってるのは、尾崎豊さんが言った「自由じゃなきゃ意味がないんだ」っていう言葉。あれはずっと持ってます。自由ってなくなるじゃないですか、本当に。大人になればなるほど。だから、知らん間に僕も、自由なくなってたんですよね、多分。でも好きなことしてこれたから、それが何とも思わなかったのが、今回こうやって気づいて、「あ、自由を求めないともうおかしくなっちゃう」って思ったんでしょうね。本当に自由じゃなきゃ意味がないって。その言葉はずっと思ってます。THE WORDWAYでは、読者から、アチーバーの記事を読んだ感想を募集しています。記事を読んだ感想、「昨日の自分を超える」トリガーになったこと、アチーバーの方々に届けたい思いなど、お送りください。いただいたメッセージは、編集部から、アチーバーご本人に届けさせていただきます! アチーバーに声を届けるPROFILE
- ◆たむらけんじ 1973年5月4日、大阪府阪南市生まれ。高校卒業後に吉本興業に入る。高校の同級生コンビ「LaLaLa」でデビューしたが、99年に解散。その後はピン芸人として活動し、裸にふんどし、獅子舞姿で「ちゃ~」などのギャグを披露するピン芸人として活躍。「炭火焼肉たむら」などを経営する実業家でもある。愛称はたむけん。2021年に23年5月4日での「芸人引退」を示唆したが、22年12月に自身のYoutubeで撤回。50歳の誕生日で国内での活動を終え、アメリカ進出する。
HOW TO
THE WORDWAYは、アチーバーの声を、文字と音声で届ける新しいスタイルのマガジンです。インタビュー記事の中にある「(スピーカーマーク)」をクリック/タップすることで、アチーバーが自身の声で紡いだ言葉を聞くことができます。 CATEGORY
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