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Photo by Kondo Atsushi
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「やりたいことがないというのは、甘え。やりたくないことを、やらないでいい努力をする」
ハリウッドザコシショウ #2
今回のアチーバーは、「誇張モノマネ」など、独創的な芸風で人気のハリウッドザコシショウさんです。高校卒業後に吉本興業の大阪NSCに入学し、1993年に静岡茶っぱとのコンビ「G★MENS(ジーメンス)」としてデビュー。同期の陣内智則さん、中川家さん、ケンドーコバヤシさんらがスポットライトを浴びる中、長い下積み時代が続きました。99年には所属事務所を辞めて上京。2002年にコンビを解散し、ピン芸人になると、2016年の『R-1ぐらんぷり』で優勝し、42歳にしてついにブレークを果たしました。自らの信じた道を歩み続ける生き方、結果を残すために必要な準備の大切さを、飾らないザコシショウ流の「WORD」から感じてください。今回は全2回連載の第2回目をお送りします。
Q:独創的な芸風の裏に、すごく緻密な準備があるという印象なのですが、ザコシショウさんにとって、そこは大切にしてきた部分なのですか?
売れてないくせに、明日オーディションだっていうのに、早い段階から、酒をかっ食らって、翌日に支障が出るくらい、がぶってがぶってベロベロになっちゃうような奴いるんですよ。そいつらって絶対売れないよと思うんですよ。明日チャンスをもらって、そのチャンスも生かしきれてない状況で、よく寝れちゃう奴なんですよね。僕だったら絶対にオーディションに受かりたいから、オーディションを受ける人が100人いるとすると、寝る時間は100位でありたいんですよ。1番に寝るじゃなくて100位で寝たいんですよ。そのぐらい準備万端で挑みたいっていうところですかね。酒をがぶって寝ちゃう奴に限って、急に振られて何もないから、何も爪痕残せずに平気で帰ってきて。それで、そういう後輩を呼んで、何も爪痕を残してないのに、バカ説教する。大説教するんです、何にも爪痕残してないのに(笑)。Q:今でも、準備への考え方は変わらないですか?
今の方が多分、用意するでしょうね。例えばドキュメンタルだってそうですもん。めちゃくちゃ不安で、例えば、用意したボケより多く用意して来る人がいたらどうしようって気持ちがいっぱいなので。アドリブでやれる人って、松本さんとか(千原)ジュニアさんとか、そういう天才ですからね。アドリブもそこで生まれれば足しますけど、僕の用意したものプラス、アドリブだったら、アドリブだけの人よりもっといいじゃないですか。100個ボケを用意したとして、100個のボケとプラスアルファだったら、(アドリブで)プラスアルファだけの人よりプラス100がついてるわけでしょう。どっちが有利かといえば、100プラスアルファの方が、数字が大きい訳ですから。Q:そこまで「準備」を大切にしようと思うのは、何かきっかけがあったのですか?
だっていい仕事をやりたいじゃないですか。(準備しないと)爪痕残せないですよね。爪痕残せないテレビ番組の収録って、僕絶対見たくないんですよね。自分が好きだから。自分が好きじゃない人は多分見れるんでしょうし、別に関係ないんでしょうけど。自分が好きじゃない人ってあんまりお笑いの人いないかもしれないですけどね。どの番組も絶対そうで、ほぼほぼ、吉本のMCの人が多いわけですよ。そうなると、吉本の芸人の方が呼ばれる率が高くなるんですけど、そこで吉本の芸人よりも目立たないといけないわけですよ。じゃあどうしたらいいかっていうと、優勝するか、優勝に匹敵するぐらいの爪痕を残すか。だから必然的に絶対に負けたくなかったし、人よりも用意周到で行きましたね。Q:多くの芸人さんと親交があると思いますが、売れている方は、同じようにしっかりとした準備をされていると?
(昨年のM―1グランプリで優勝した)錦鯉が、50歳で売れたでしょ。それで、「50の芸人にまた希望持たせちゃいましたね」とか「50過ぎ、40過ぎの芸人が辞めなくなっちゃいましたね」っていうようなことをよく言われてるんですよ。でもね、何も頑張ってない、普通の40過ぎの芸人が50になったって絶対売れないですからね。錦鯉はああいう感じで、馬鹿丸出しみたいな感じでやってますけど、人一倍努力してやってましたから。月1で10本新ネタでやるライブとか。それは生半可なことじゃないと思うので。それを多分何年も続けてたと思いますよ。それがM-1に通用するレベルになったんですよ。もともと持ってる才能もあるし。だから、なんの才能もない奴が、何の努力もしない奴だったら絶対に売れないです。Q:「芸」の世界で成功を収めることができるのは一握りの人だと思います。志半ばで挫折した後輩や、悩んでいる後輩から相談を受けることも多いと思うのですが、そんな時はどんなアドバイスをされるのですか?
よく「ダメ出しください」とかって言われるんですけど、「結局やりたいことやれてんのか」って聞きますけどね、僕は。Q:自分の芸に、絶対的な思いが込められているのかと?
そうそうそう。お客が笑うからこれやってるとかだと、本当に120%面白いものを追求できてない気がするんです。素材の50%ぐらいしか活かせていないかもしれない。自分でこの素材を知ってるから、こうやって料理した方が面白いっていう風なことができるかできないかっていうのが重要ですよね。Q:お笑いの世界に限らず、自分の中で「これだ」というものを見つけるには何が必要だと思いますか?
確実に好きなものってないですか?人間、何か1つぐらい。それやりたいな、仕事でこれやりたいなって思うのが素直な気持ちであって。それが全くないって人は、いないと思いますけどね。結局ね、やりたいことがないっていうのは、甘えだと思いますよ。どうせ無理だろと思って、行動に移してないだけですよ。本当に、本当に無理だったって言うなら仕方ないですけど。だったら第2希望のやつをやればいいだけであって。僕もそうですからね、結局。本当に無理なのかもしれないけど、でも行けたから。進んで、じゃあ進めてるんだったら売れたいなって。売れたいというか、面白いことやりたいなって。Q:やりたいと思えば、その先には必ず「道」があると?
ないかもしれないですよ、そりゃあ。それはないかもしれないですけど、あるかもしれないです。(大阪にいた)吉本時代は同期とか先輩とずっと面白いことをやっていたけど、結局それを仕事に活かしきれてなかったんですよ。でも、その大阪で培ったものはすごく大きかったし、それをうまく落とし込めたのが、東京に来てからの行動なのかもしれないです。ずっと吉本にいて、ずっと楽しいだけでは、それはなかったと思います。それを自分のビジネスに活かすんだっていう落とし込みが気付けるかどうかですよね、多分ね。Q:そこまで落とし込めれば、準備や努力が自然とできるようになるということですか?
そこの努力はしましたね。やっぱR-1ぐらんぷり決勝に行かなきゃ、そこまでなんですよ。準決勝とかで敗れちゃうと、それで終わりなので。やっぱその決勝に行くための耕しみたいなのはしましたね。予選は、お客さんのその日の笑いの量で、受かる受からないっていうのが決まって、そこで滑っちゃうと決勝いけないからね。だから、Twitterとかで、「俺、面白い人間なんだよ」っていうのをやれるようなバズる感じの画像を毎日あげてました。ドラクエものまねなんですけど。でも、あれですよ。楽しい、自分の好きなことじゃなきゃ、これだけ長いこと続けられないです。Q:ザコシショウさんのように、諦めずに夢を追いかけ続けるためのアドバイスがあればお願いします。
辞めてしまったらもうそれまでっていうことですかね。僕は難しくないですね。だって好きなものですからね。好きじゃないものをやるよりは、好きなものをやるほうがいいでしょう。やりたくないことを、やらないで済むための努力をしないといけないですよね。Q:自分自身が「やりたい」と思うことを貫く勇気が、壁を乗り越える活力になるということですか?
そうですね。貫かないと。自分の中で面白いと思ってないようなことをやって、売れても、すぐ下火になる気がするんですよ。例えば当たったとしたって、それって、ずっと持続できるようなもんじゃないでしょう。だって自分の面白いって思うことは、どんどん浮かぶけど、お客さんに媚びて、これがウケるんでしょっていうものって、なかなか思いつきませんよ。そういうのにも素直になりたいですよね、やっぱね。そうじゃないとやっていけないですよ。自分の芸に素直にならないといけないし、一般の人でもそうじゃないですか。自分のやりたいことに素直にならないとっていうところだと思いますね。ハリウッドザコシショウさんの「THE WORDWAY」。全2回にわたる連載はこちらで完結となります。破天荒な芸風のザコシショウさんの、ご自身の芸に対して真剣に、鍛錬と準備を怠らずに貫いてきた生き方からつむぎ出される言葉が、読者の方々にとって、現在の自分を超えるための手かがりとなれば幸いです!
THE WORDWAYでは、読者から、アチーバーの記事を読んだ感想を募集しています。記事を読んだ感想、「昨日の自分を超える」トリガーになったこと、アチーバーの方々に届けたい思いなど、お送りください。いただいたメッセージは、編集部から、アチーバーご本人に届けさせていただきます! アチーバーに声を届けるPROFILE
- ハリウッドザコシショウ 1974年2月13日生まれ。静岡県出身。血液型A型。1993年に静岡茶っぱとのコンビ「G★MENS(ジーメンス)」としてデビュー。ピン芸人として、2007年スタートの「あらびき団」(TBS)で活躍し、「キングオブあらびき」の称号を得る。2016年「R-1ぐらんぷり』優勝。Amazon Primeの「HITOSHI MATSUMOTO Presents ドキュメンタル」でも3度優勝。自身のYouTubeチャンネル「ザコシの動画でポン!」を連日更新している。
HOW TO
THE WORDWAYは、アチーバーの声を、文字と音声で届ける新しいスタイルのマガジンです。インタビュー記事の中にある「(スピーカーマーク)」をクリック/タップすることで、アチーバーが自身の声で紡いだ言葉を聞くことができます。 CATEGORY
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