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Photo by Kondo Atsushi
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「変わっていく勇気は必要ですが、変わらない信念も必要なんで」
澤村拓一 #2 (メジャーリーガー)
THE WORDWAYの記念すべき最初のスピーカーはボストン・レッドソックスの澤村拓一さんです。 高校はチームで4番手の投手だった澤村さん。大学で才能を開花させ、2010年にドラフト1位で巨人に入団します。1年目で新人王を獲得するなど活躍するも、怪我により低迷し、3軍落ちも経験しました。しかし、2020年にロッテに移籍して復活、更にシーズンオフにメジャー挑戦を表明、ボストン・レッドソックスに入団して、現在はチームの主力として活躍されています。 数多くの栄光と挫折を経験しながら、今も飽くなき挑戦を続けている澤村さんから、「昨日の自分を超える」ための言葉を探っていきます。 今回は、全3回連載の第2回目をお送りします。
Q:目標や「こうなりたい」という自分に対し、壁を感じている人も少なくありません。澤村選手も、巨人時代の2017年以降は苦しい時期が続きました。20年には3軍も経験しましたが、キャリアを振り返って、壁をどのように乗り越えてきたのですか?
プロに入って、いろんなことを知る前までは良かったと思います。 怖くなかったというか、「俺、別にプロでもできるし」なんてなめた考えでいましたけど、打たれることの怖さだったり、マスコミの辛辣さだったりを知って、プロ野球の怖さを知ったときに、一歩引いて小さくなっちゃった感じでしたね。周りからの評価ばかり気にしてました。「こう思われなくちゃいけない」「こうしなくちゃいけない」。だから「何々をしなくちゃいけない」って思った瞬間に、もう楽しくなんかないし、一歩引いちゃったなって。7年目から10年目途中ぐらいまでは、迷ってたと思います。Q:ぶれない澤村さんでも、恐怖を感じたり、迷いが生じた時期があったのですね
人のせいにばっかりしてましたね。例えば、あの時のエラーがなければとか、チームプレーなのに。現実を受け入れるのが怖かったんだと思います。自分が衰退していくっていうんですかね? 自分が落ちていく、下手になってくるっていう現実を受け入れ難かったんじゃないすかね。周りからの評価ばっかりを気にしてていて、(3軍に落ちた時は)終わったなって思ってました。失敗を怖がっていたから、一時期イップスにもなったし、 ストライクが入らなかったり、ゴロを取ったら暴投するとかもありました。それも、迷ってたからだと思います。Q:目の前にある壁。乗り越えるために、何を考え、どのような行動を起こしたのですか?
そんな状況でも、「本当にやるべきことをずっとやり続けるしかない」っていうのは変わらなかったです。自分の長所は信念を貫くことしかないから、ずっとトレーニングは続けました。同時に、自分がどんな状況になっても離れず、僕の可能性を信じて叱咤激励してくれる仲間の存在に支えられましたね。Q:2020年にロッテに移籍されたことをきっかけに輝きを取り戻されたように思うのですが、信じた道の先に壁の向こう側があったという感覚ですか?
巨人からロッテにトレードされた翌日に、(一軍で)もう僕、投げてるんですよね。あれこれ考えてる暇はなくて、無でしたね。ロッテファンにうけてないことだってわかるし、ストライクも入らないし、印象も悪いですよね。「澤村」って呼ばれた時のファンの「えー!?」みたいな変などよめきも聞こえてました。ただ、使ってくれた(監督の)井口さんと、(投手コーチの)吉井さんは裏切れないっていうのは強く思いました。使ってくれるんだったら、やるべきことやろうって。もうシンプルになりました。1球1球、ここに投げなくちゃいけないとか、もう、悩むことをやめたんです。だからプレッシャーというか結果を残さなくちゃいけないって思わなくなりました。そしたら、その試合で結果が出せて、スタンドのどよめきが「キャー!」という歓声に変わった。その時ですね。トンネルを抜けたのは。Q:悩むことをやめるというメンタルの変化が大きかったということですか?
今は、こういう取材とかで言えるんですよね。弱さを受け入れられる強さを持ってるんです。それ以前は、見栄をはって、『こう思われたい』って思ってたから、そういう自分の弱さから目を背けていたんだと思います。でも投げるときの怖さはありますけどね、今でも。アメリカに行って、今はものすごく自分のことを客観的に見られて、いろんなことが許せて、張り詰めて生きてないですね。Q:トンネルを抜けるために行動の面で意識していたことはあったのですか?
根本的には何も変わってないと思います。技術的には。ただ、やり続けてきてるんで、本当にメンタル一つだと思いますね。変わっていく勇気ってすごい必要なんですけど、変わらない信念も必要なんで。絶対そこだけは曲げないっていうもの。僕だったらトレーニングはずっとやり続けるとか。そこしかないです。トレーニングをやってると、ああじゃない、こうじゃないと言って来る人もいますが、 絶対曲げなかったですね。現に僕、アメリカに行って勝負できる理由はトレーニングだなと思いますもん。あの時、ロッテファンが受け入れてくれて、ちょっとだけでも認めてくれて。そういう環境に自分が求められたっていうのが大きかったですね。Q:やはり、自分自身が大切にしている考え方、「信念」が大切だと?
信念はぶれないです。絶対に。やり続けることだったり。誰に言われてもぶれないです。僕は、それを目上の人に対しても、目の前で言えます。澤村さんの「THE WORDWAY」。 最終回となる♯3では、アメリカでの2シーズン目に挑む澤村さんが現在の目標について語ります。 目の前の状況を変えるには、まず行動を変えること―。妥協なき言葉に、「昨日の自分を超える」ヒントがあります。
THE WORDWAYでは、読者から、アチーバーの記事を読んだ感想を募集しています。記事を読んだ感想、「昨日の自分を超える」トリガーになったこと、アチーバーの方々に届けたい思いなど、お送りください。いただいたメッセージは、編集部から、アチーバーご本人に届けさせていただきます! アチーバーに声を届けるPROFILE
- 澤村拓一(さわむら・ひろかず)1988年(昭63)4月3日、栃木県栃木市出身。中央大学から2010年ドラフト1位で巨人に入団。1年目に11勝を挙げて新人王を獲得し、その後も先発や抑えとして活躍。17年以降は故障もあり3軍を経験するなど精彩を欠くシーズンが続いたが、20年9月にロッテに移籍したことで復調。同年オフに海外FA権を行使してメジャー挑戦を表明し、名門レッドソックスと契約。メジャー1年目の21年は、勝ちパターンの一角でフル回転し、55試合に登板5勝1敗10ホールド、防御率3.06と活躍した。
HOW TO
THE WORDWAYは、アチーバーの声を、文字と音声で届ける新しいスタイルのマガジンです。インタビュー記事の中にある「(スピーカーマーク)」をクリック/タップすることで、アチーバーが自身の声で紡いだ言葉を聞くことができます。 CATEGORY
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