NEW WORDS
2023.03.20
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2023.03.20

「「この狭い世界に収めておけない」って思わせるぐらい特別なことをしていれば、きっと誰かが見つけてくれる」

梅原大吾 #1

今回のアチーバーは、「世界でもっとも長く賞金を稼いでいるプロゲーマー」などのギネス記録を持つ、世界的eスポーツプレイヤーの梅原大吾さんです。小学生の時に格闘ゲーム「ストリートファイターⅡ」と出会った梅原さんは、毎日ゲームセンターで腕を磨き、15歳で日本大会優勝、17歳で世界大会優勝を果たすなど、若くして注目を集めました。23歳の時に一度はゲームの世界から離れ介護の職に就くも、2009年世界大会で優勝し電撃復帰。10年にアメリカの企業とスポンサー契約を結び、「日本初のプロゲーマー」となりました。幼少期から、ゲームに対する世間の逆境に抗しながら、「好き」を貫き続け、40歳となった現在も世界のトップとして活躍を続ける梅原さん。ゲーム業界の先駆者が、好きなことを仕事として生きる難しさ、プロとしてのこだわりを語ります。今回は全3回連載の1回目です。

Q:まずは、「ゲーム」の世界と「プロ」という部分を聞かせていただきたいのですが、年々市場が拡大しているゲーム業界において、明確な「プロ」の定義というのはあるのですか?

そこは実はすごく曖昧で、最初に僕がプロゲーマーになった時は、企業スポンサーがついてゲームを職業として生活ができるので、単純に「プロ」という肩書になりましたが、その後色々とプロゲーマーは出てきても実際、生活はできていなかったり、逆に今はスポンサーはついてないけど配信という手段があるので、競技者としてではなくてゲーム配信を生業としていたり。だから、誰もがこれだとする明確なプロの定義がないんですが、個人的にはゲームだけで生活できているかどうかが、線引きなんじゃないかなと思っています。

Q:梅原さんの存在に憧れて、国内でプロを目指す人が増え、日本でもゲームが少し打つ「文化」として定着してきました。先頭を走り続けてきた自負や、時代を変えた満足感はありますか?

日本人初とはいえ、海外では既にプロゲーマーが存在したので、自分が作ったとか、自分が影響を与えたという風には思ってないです。ただ、日本は趣味で生きていくことに対して偏見や抵抗がある。日本の企業とか、日本のプレーヤーも含めて、「ゲームで生活していくなんてとんでもない」っていう空気が当時はありましたね。(自分が)それを覆す1つのきっかけになったとは思っています。

Q:梅原さんが幼い頃は、ゲームは、今ほど世間から受け入れられていなかったように思います。ゲーム=遊びという常識の中で、難しい時期もあったのではないですか?

僕が初めてゲームの全国大会で優勝したのは15歳でした。その次に開かれたのが17歳の時の日本大会で、それに勝って米国で開かれた世界大会も勝って、日本大会優勝、世界大会優勝。そのさらに2年後に日本大会も優勝。毎回、これで何か変わるんじゃないかって思っていたんですよね。そんなふうに連覇するっていうのは、今ですら誰も一度もやってない、奇跡というか、もう1回やれと言われても無理なくらいなんです。だから、業界での存在感はありましたし、唯一無二と見られていました。 でも現実は、仕事にならないどころか、お小遣い稼ぎにもならない世界でした。これだけやっても何も変わらないんだっていうことを何度も何度も経験して、好きで好きでどうしようもないゲームでしたが、絶望といっても過言でない思いで足を洗うことを決意しました。23歳になるころでした。

Q:一度は介護の会社に就職されたと聞きました。電撃復帰した後の、2010年にアメリカの企業がスポンサーとなり、日本人初のプロゲーマーとなったわけですが、ゲームの世界でやり残したこと、大好きな業界を変えたいという思いがあったのですか?

プロになることで何かが変わるとより、もう変わらないだろうと半分思っていたんです。あれだけ成果を残しても変わらなかったんだから、今更プロだって言っても、企業が付いたからといって、そうそうこの業界、この国のゲームに対する見方は変わらないだろうと思ってました。でも、(プロ転向が)ラストチャンスだなって、同時にラストチャンスだから、最後に本当に人生ラスト、最後にもう1回頑張らせてくれっていう思いでプロとしてやることを決めました。

Q:梅原さんが、「ゲーム」と「プロ」を結びつけたことが大きく影響し、国内の市場が動き出しました。ビジネスチャンスがない場所に、芽をまき、育てるのは簡単なことではないと思います。チャレンジし続けられたのはなぜでしょうか?

今でこそゲームってライトな趣味にしていても受け入れてもらえる時代になりましたが、僕がゲームセンター行き始めた頃は、いわゆる不良の溜まり場で、タバコの煙もすごいし、不健全で危なくてっていう時代で、ゲームセンターには行きながらも、ゲームというのは人に言えない趣味だったんですよね。世間から認められない、そんな世界だから一度や二度その狭い世界で名を売ったところで変わらない。1回や2回じゃダメなら、3回4回。それで「もうその狭い世界に収めておけないだろ、こいつは」って、そういうことが起きないかなっていう漠然とした期待ですよね。特別なことをしていればきっと誰か見つけてくれるんじゃないか、そういった期待はありましたね。

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